2006年は、近代建築の巨匠としてフランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジェと並び称され、モダン建築の基礎を築いた建築家ミース・ファン・デル・ローエが誕生してから120年目にあたります。ミースが現代建築に与えた功績は計り知れないものがあり、21世紀の現代に於いても、彼が提唱した「less is more」の美学や工業化にともなうユニバーサル・スペースの概念は、現代の都市的空間の原点というべきものです。「建築は建てることだ」と考え、求道者として生涯歩み続けたミースをもう一度評価し、デザイン的美学、社会的倫理感、実用性を重視した思想を学ぶことは大変意義深いことと考えます。
本展覧会はミース生誕120年を記念し、永年ミースを研究され シカゴ建築研究所を主宰されておられる高山先生のプロデュースにより、展覧会、講演会、シンポジウムを開催します。ミースより直接薫陶をうけた高山先生により、今まで紹介されることのなかったエピソードとともに、ミースという人間を軸としたモダニズムの原点を再認識していただき、わが国のデザイン潮流を探る機会になればと願っております。
本企画にあたり、所蔵の展示パネルをご貸与いただいた東北工業大学、ご共催をいただきました日本建築学会、日本建築家協会、東京都建築士事務所協会、ならびにご後援をいただきました各団体、各機関に厚く御礼を申し上げます。また、多額の資金のご提供をいただき、この展覧会の実現にご理解とご支援をいただきました協賛各社に心より感謝申し上げます。